今までの兼題

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本棚・書庫
第53回進化第54回硝子第55回暗闇第56回猛犬
第57回坩堝第58回位置第59回青森第60回模様
第61回王様第62回四角第63回半島第64回懸垂
第65回全身第66回回転第67回珈琲第68回反対
第69回夫・妻第70回隣人第71回危険第72回書類
第73回眼鏡第74回午前・午後第75回人形第76回世界
第77回仲間第78回教室第79回椅子第80回阿吽
第81回土地第82回煙突第83回 第84回 
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火恋し妻在りし日の童話集谷原恵理子
信じきれぬ夫のカーナビ猫じやらし谷原恵理子
弁当箱出せば夫来て紅葉狩谷原恵理子
ジャズピアノ弾け夫婦のホットワイン谷原恵理子
冬の市妻はピンクの長靴で谷原恵理子
在りし日はま白きままに寒椿近本セツ子
風花や誘はれゆきて還らざり近本セツ子
茫々と影の動きて夕焚火近本セツ子
亡き人に美しからむ冬北斗近本セツ子
それぞれの机なりしを冬の雷近本セツ子
木犀や鼻が膨らむ妻がゐて千葉 隆
天高し妻の数値に異常なく千葉 隆
茸汁お替りすれば妻の笑み千葉 隆
新酒飲む妻に薀蓄語る吾千葉 隆
AIも妻には敵はぬのつぺ汁千葉 隆
戦時下の紅葉の庭のかくれんぼ同前悠久子
十八の夏義姉の弟現るる同前悠久子
夫として下車せし春の南滋賀同前悠久子
五十歳桜祭の家康公同前悠久子
秋空のパレード手を振るあの笑顔同前悠久子
老眼鏡かけて栗剝ぐ夫婦かな豊田静世
蚊の止まる夫の寝顔は打てもせず豊田静世
息子に譲る夫の酒量や新走り豊田静世
木下闇抜けむと夫の背を追ふ豊田静世
八十路の夫や磨きて捨てる登山靴豊田静世
箒に乗り空駆ける妻冬紅葉中﨑啓祐
秋風に妻の後追ふ小き蝶中﨑啓祐
鱗雲バス待つ妻の丸みおび中﨑啓祐
アルバムの褐色の裸婦胸誇る中﨑啓祐
ベランダの葱に挨拶朝の妻中﨑啓祐
月天心海辺にくつきり夫婦岩中島外男
コスモスや妻子手を振る無人駅中島外男
初さんま妻子笑顔で飯を食ふ中島外男
綿虫を払ひつつゆく老夫婦中島外男
牡蛎鍋をつつく夫婦の黙の刻中島外男
足早のをとこは追はず大花野中田千惠子
野紺菊咲くやをとこの歩数増ゆ中田千惠子
夜長妻をとこの明日へ豆を煮て中田千惠子
セーターに顔出すをとこ若返る中田千惠子
別々に出かけて出会ふ冬紅葉 中田千惠子
妻の手にまだ命ある法師蝉服部さやか
改札に妻の顔見る夕時雨服部さやか
冬夕焼ここまで届く妻の声服部さやか
水鳥の水に揺られて妻の座に服部さやか
寒月や机に妻の走り書き服部さやか
手術室へ見送る秋の光かな浜岡紀子
突然の老老介護雁渡し浜岡紀子
部屋ごとの終夜の灯し霜の声浜岡紀子
長々と冬の影引く二人かな浜岡紀子
助手席の夫の横顔冬夕焼け浜岡紀子
きび刈れば空より夫の相聞歌浜田はるみ
田一枚夫婦で守り天高し浜田はるみ
牡牛座の夫は無口で牡蠣が好き浜田はるみ
鴛鴦の池や夫婦のすれ違ひ浜田はるみ
実万両峠を越えて来し夫婦浜田はるみ
子育てを終へし夫婦の掘り炬燵深澤文子
夫老いてよるとさはると小言かな深澤文子
老妻のみづみづしさや冬の宿 深澤文子
襟巻きに託す想ひや古稀祝ひ深澤文子
緋桜にどちらともなく目配せす深澤文子
暮れ方の夕顔一つ夫と見む牧野洋子
唐突に話し出す夫椿の実牧野洋子
蚯蚓鳴く世界旅行に誘ふ夫牧野洋子
コスモスの花の中より夫の声牧野洋子
一日中黙す夫居て濃竜胆牧野洋子
夫と来し弥次喜多人生山笑ふ三島やよい
山の駅吾を待つ夫の白いシャツ三島やよい
ダム成つて若かりし夫光る汗三島やよい
初雪を喜々とする夫北育ち三島やよい
小春日や夫と添ひたし彼岸まで三島やよい
濡れ縁で腕組みの夫秋の暮宮本郁江
夕暮の案山子は夫のシャツを着て宮本郁江
まだ灯る夫の書斎や虫時雨宮本郁江
蜜柑もぐ夫婦の腰に竹の籠宮本郁江
仏像展夫と見た夜の根深汁宮本郁江
見えますか夫に手をふる大花野村瀬八千代
二人とも同じふるさと石蕗の花村瀬八千代
浴室より夫の歌声冬初め村瀬八千代
子ら三人夫似の耳や根深汁村瀬八千代
甘党の夫や善哉煮る二日村瀬八千代
菊日和万歩を夫と歩を合はせ山下添子
花の名を夫に教へるうろこ雲山下添子
老夫婦の卓に鰯の文化干山下添子
船上の妻の頬杖秋惜しむ山下添子
白鳥来て妻問ふ声や大沼湖山下添子
鍋焼きの卵の固さ知る妻に山本乃生子
湯たんぽに足を挟みて寝息起つ山本乃生子
賞味切れ厭はぬ妻を話題にと山本乃生子
ストーブに薪積む夫の饒舌よ山本乃生子
碗欠いた気色も隠せぬ炬燵妻山本乃生子
病む夫の指さすところ梅一輪和智安江
白絣畳みしままや夫不在和智安江
さよならと夫の手なびく芒原和智安江
霧の道吾を呼ぶ夫の声幽か和智安江
冬夕焼長き二人の影法師 和智安江
逝く人へ川越祭りの遠音かな浅見 百
何処となく夫の体臭大根干す浅見 百
用のない灰皿仕舞ふ秋高し浅見 百
あの世では禁酒禁煙蚯蚓鳴く浅見 百
鰯雲キセルは紙縒で掃除して浅見 百
秋天はひねもす夫と黄楊を掘る安達英子
風邪ひけば夫のみやげの秋桜子安達英子
買初や夫に敬語をつかひけり安達英子
落第の夢みし夫の正信偈安達英子
父逝きて国家試験真向ふ夫の春安達英子
おでん屋に若き日の夫泣き上戸あべあつこ
この頃は南瓜地獄と夫のいうあべあつこ
ゆきずりの犬に手をふる夫の秋あべあつこ
表札の夫婦別姓一位の実あべあつこ
虫の音に海を見ている夫婦かなあべあつこ
妻飾る聖樹の灯り点しけり新井大介
数へ日の妻を迎へに自動車出す新井大介
行く年の好きにしたらと妻は言ふ新井大介
また妻の宅配便や日脚伸ぶ新井大介
あちこちに物置く妻よ春近し新井大介
うたた寝し起こす人なく大夕焼五十嵐孝子
夫といふ形はなくてこぼれ萩五十嵐孝子
立冬や熱いココアをそつと出し五十嵐孝子
冴ゆる夜のなつかしjazz曲肩よせて五十嵐孝子
共白髪みやるまなざし冬うらら五十嵐孝子
細目して秋刀魚を選ぶ夫婦なり石井圭子
ひとりごと夫に聞かれし秋彼岸石井圭子
孫の数指折るふたり敬老日石井圭子
三日月や絵のやうだねと夫の言ふ石井圭子
夫婦して灯火親しむサスペンス石井圭子
夫が来てしばらく桐の実を仰ぐ岩淵喜代子
冬薔薇夫といふ字は簡単な岩淵喜代子
寒禽や夫の目覚めぬ昼下がり岩淵喜代子
野分めき妻と書くべきところあり岩淵喜代子
犬蓼も妻といふ字も書きやすし岩淵喜代子
山霧の山越えたれば海展く歌代美遥
冬の星ひとつ残して終電車歌代美遥
御仏の手のひら豊か散紅葉歌代美遥
二人して佇ちつくしたる冬紅葉歌代美遥
涙もろくなる夫の老い虎落笛歌代美遥
からからと笑ふ妻ゐて石榴の実宇陀草子
卓袱台に妻の書き置き蒸し芋宇陀草子
夫婦して耳老いにけり鉦叩宇陀草子
終電の妻待つ駅舎ちちろ虫宇陀草子
仕舞湯の妻虫の音に湯を落とす宇陀草子
秋高し老いを覚える夫婦かな及川希子
髪染めをけなす夫居てちちろ虫    及川希子
松手入れ手慣れし夫の昨日今日及川希子
夫の愚痴聴いたふりする秋時雨及川希子
パラソルをかざして夫婦の散歩道及川希子
風切羽峠を夫のアノラック岡本惠子
花カンナ夕餉の飯を妻が炊く岡本惠子
香炉のみ嫁入り道具破芭蕉岡本惠子
肩車されて聖樹に星を置く岡本惠子
針供養わが良き夫とリネン室岡本惠子
月の夜の夫腹筋運動す尾崎淳子
悪妻は月夜に眉を切りてをり尾崎淳子
後ろ姿夫に似たる糸瓜かな尾崎淳子
白萩に休み郵便配達夫尾崎淳子
金木犀酒作る夫や夕日中尾崎淳子
湯豆腐をと今日も明日も夫酔ひき小田裕子
凍つる朝子のおむつ手で洗ふは夫小田裕子
夫と子ら惣菜別々鮭とグラタン小田裕子
思春期の子と夫とぶつかり合ふ春雷小田裕子
夫も必死テレビの言葉異国春小田裕子
かりんの実のせて夫の走り書き河邉幸行子
実万両夫妻のその後思はるる河邉幸行子
柚子は黃に別姓として華燭の日河邉幸行子
夜更かしのどちらともなく玉子酒河邉幸行子
相棒と呼ばれ勤労感謝の日河邉幸行子
樹下明るし空蝉見せに来し少女川村研治
紅葉かつ散るとりあへず生返事川村研治
長き夜の砂落ちきりし砂時計川村研治
老眼鏡ぬぐうてゐたる白露かな川村研治
竜淵に潜み国勢調査かな川村研治
暖冬の夫は寝そべる海馬のごと木佐梨乃
今日は主夫明日は主婦よと秋刀魚焼く木佐梨乃
大根の煮方の違ひしゆふ当番木佐梨乃
面白きマントの夫は骨董商木佐梨乃
ドヤ顔の夫みて喰らふ八頭木佐梨乃
おもしろき部屋もつ妻は胡桃かな木津直人
冬の道四方にわかれ妻歌ふ木津直人
奪ふほどの氷柱ありけり妻の里木津直人
大根や妻は女のまま生きる木津直人
妻が寝て時間がとまる冬の星木津直人
一人歌独語する冬夫と居て栗原良子
数へ日の歩の所在なき友の夫栗原良子
単独行の妻待つ夫の寒暮かな栗原良子
冬深き後家集ふカフェさんざめく栗原良子
妻の写真二列残して年尽きる栗原良子
秋の森光の中を妻来たる兄部千達
秋日の孫の仕種を妻見つむ兄部千達
冬銀河見上げたままで妻一人兄部千達
浅間颪夫一人耐へる別荘兄部千達
冬荒野郵便夫行く広大さ兄部千達
長き夜や書架に戻しぬ「妻の日記」小塩正子
スマホ手に炬燵の妻は高鼾小塩正子
鴛鴦や共に白髪は叶はずに小塩正子
返り花夫を送りて幾星霜小塩正子
星合や写真の夫と語らひて小塩正子
妻と見る岳を離るる望の月西方来人
忘年会妻に迎へを頼みけり西方来人
賞の無き前に立つ妻菊花展西方来人
妻と行く小さな旅行墓参り西方来人
長き夜や妻を隣に寄席落語西方来人
妻恋の句集賜る涼新た佐々木靖子
振り向かず夫は行きけり烏瓜佐々木靖子
佐渡見えて夫と分け合ふ栗おこは佐々木靖子
相槌を打つでもなくて長き夜佐々木靖子
言はでもがなを言うてしもうた望の月佐々木靖子
夫在りし小窓に小鳥くる日なり島 雅子
つぎの秋待ちてあなたの悪妻に島 雅子
おでん酒裏のうらまで夫婦なり島 雅子
鴛鴦の仲良き夫婦演じきる島 雅子
茶が咲いてそろそろ後妻くる頃か島 雅子
夫独り旅立つ朝や金木犀島崎正彦
眼鏡拭く妻の背中や長き夜島崎正彦
妻夫片寄せ眺む蕎麦の花島崎正彦
お早うのかけ声響き今朝の秋島崎正彦
鈴虫の夫婦喧嘩を諌めるや島崎正彦
秋の道細き肩なり妻吐息志村万香
寒椿小指で描く妻の紅志村万香
夕焼けの夫の背中照り返し志村万香
降り注ぐ妻の服にも紅葉散る志村万香
秋桜夫婦の姿細き道志村万香
約束の栗の飯炊く夫の忌来新沢しんこ
秋時雨妻へと傾ぐ男傘新沢しんこ
「さん」付けで呼び合ふ夫婦冬ぬくし新沢しんこ
老妻のお国訛や日向ぼこ新沢しんこ
「ねえ」と吾を呼ぶ新妻に冬日燦新沢しんこ
桜紅葉踏みつつ妻のあとに蹤く末永朱胤
団栗の落つるを妻も聞いてゐる末永朱胤
晩秋や妻に教へる夕陽あり末永朱胤
妻と仰ぐ雲ひとつなき冬隣末永朱胤
妻を待ち冬の初めに灯をともす末永朱胤
秋果をつかむ妻の手節と筋鈴木統子
栗めしときくや童に戻りをり鈴木統子
夢二忌や妻はマスクの紐つづめ鈴木統子
藍色のマスク縫ふひと夢二の忌鈴木統子
水澄みてふたり言葉を忘れけむ鈴木統子
撫子や三段跳びで妻となる高橋寛治
二人目の妻を娶りて白露かな高橋寛治
寝仏や海鼠のごとき妻おはす高橋寛治
塔に住む夫婦に子なく冬の虹 高橋寛治
細君と名指して見ればおけら鳴く高橋寛治
紅葉山より降りてくる郵便夫武井伸子
黄落のただ中にゐて夫を待つ武井伸子
里芋のつるりと逃げる夫の箸武井伸子
小春日や夫の背中のちぢみたる武井伸子
先の世の海鼠の癖の残る妻武井伸子