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春雨や人差す指で鰯割く   siba

★魚のはらわたを指で抜くというのは、考えてみればむごい作業である。「人差す指」とは何でもする指なのだ。あれこれ選び迷う指、種を地面に埋める指、ものを口に運ぶ指。作者はこの働き者の指を労いつつ、罪多い指を見つめている。贖罪のような柔らかな春の雨が降り続ける。(あき子)

言の葉を指折りかぞへ寒の果   こうだなを

★指折りかぞへることは、別に数を数えるためだけでなく、卑近に起こる場面である。それは血脈の呼び名だったり、果物の呼び名だったり。作者は春へつながる季語を指折り数えていたのかもしれない。「寒の果」はそんな想像も出来る効果を出している。(喜代子)

凍てし夜のくちびるなぞる薬指   千種清美

★言葉の積み重ねで映像が築きあげられるのはこのような句である。くちびるを意味もなくなぞることなどは男自身ではほとんど行なわない。男が女の唇を、あるいは女自身が、何気なく行なった所作である。寒夜の深閑とした空気が、そのわずかな所作によって感じられてくる。(喜代子)

毛糸編む十指に余る糸持ちて   徳子

★十色以上の毛糸を器用に使いこなす作者がいる。一本の毛糸はひと目ひと目と編み込まれていくうちに、模様になり図柄になり命を吹き込まれる。黙々と指を動かす作者には、最初から出来上がりの形が見えているのだろう。作者の仰天の力作をこのサイトで見ることができる。これぞ百聞は一見にしかず。(あき子)

指先のなき手袋の朝市女   以和於

★朝市で女が、冷たい空気の中を威勢よく切り盛りしている。その手袋の先端から顔を出す指は、労働し、金を数え、子供を抱き、あらゆることをやすやすとやってのけている指だ。「ゆりかごを揺らす手は世界を支配する手」、これぞ血の通った女の手であろう。(あき子)

車窓より指差す所冬の虹   香風

★虹を見つけると、思わず誰かに告げたくなる。それがたとえ見知らぬ人であっても。作者もまた、「虹が出てますよ。あそこに」と指さしたに違いない。ひとりが見つけた虹がまわりを周波的に認識させてゆく場面が懐かしい風景である。みんながつぎつぎ虹に気がつく頃、電車は次の駅に到着して、冬の淡い虹もさらに淡くなってゆく。(喜代子)

指折りの思案の中に棲む狐   潅木

★指折りの思案とは、言うまでもなくたくさんの思案の中でもさらに特別な思案である。その思案の中に狐がいるという隠喩が面白い。さらに面白いのは狐がいると自意識をもつ醒めた作者が見えることだ。きっと作者はその狐をどう操ろうかと、悪戯心で楽しんでいるに違いない。狐は冬の季語である。(喜代子)

とりあへず指を栞に冬の空   ちづこ

★読書にひと区切りしたい時、とりとめもなく窓の外を見ることがある。冬の空はどこまでも青い。見上げる視線には、もう本のことも、毎日の暮しのことも存在しない。ほんの一瞬のつもりの視線が、今や空と作者を実線で結んでいる。本に挟んだ指だけが、まるで置き忘れたように現実に残されている。(あき子)

ながめゐる十指の紋や春隣   ちかこ

★つくづくと十指に見入る。それぞれの指にそれぞれの指紋。このはかない指先の渦は、一卵生双生児であっても、ましてや自分の隣の指であっても決して同じ模様がないという不思議。普段特別意識しない何かに、気持ちを寄せる柔らかく愛おしい気分が、春も間近である喜びにつながる。(あき子)

指ゆるめ筆にまかせて春隣   遊起

★文字を書くのが不得手であるので「さて、今日はひとつ硯でも出してみようか」と思い付くことなどないのだが、さぞかし気持ち良いものだろうな、とは思う。真っ白な紙に向かい、墨をたっぷり筆に含ませ、自在に文字を連ねていく。筆にまかせる、という悠々とした心構えもまた、春を待つ気分に心地よく沿う。(あき子)

スタートの指を地平の霜に置く   晶子

★短距離走のスタートフォームには「両手と片膝がトラックに接触しなければならない」という規定があるという。霜に覆われた地表に指を置き、膝をつく姿勢はどこか神聖でもある。走者は風を切ることだけを考え、静かにスタートの声を待っている。(あき子)

指貫はコタツの中の落し物   曇遊

★日常に紛れたこたつの布団の中には指貫の他、どんな物が落ちているのだろう。ヘアピン、消しゴム、読みさしの文庫本。それらささやかな生活品に、幸せのありようを思う。(あき子)

梅が香や合掌の指真つ直に   宗一郎

★合掌とは、左手は迷いの世界、右手は悟りの世界を表す立派な仏教の作法なのだそうだ。さらに正しい合掌は、「背筋を伸ばし、両肘を身体にぴったりつけず、脇の下に卵が一つはいるくらいに保ち、両方の手を体の前方、中央部あたりまで上げ、両手のひらをピタリと合わせる。十本の指は伸ばし、肩の力を抜いて自然な姿勢に」とあり、ますます作法めいてくる。それでも掲句に共感するのは、作法以前に「いただきます」と折々手を合わせてきた自然への慈しみの動作として刷り込まれているからだろう。清々しい梅の香りが、素直に頭を下げさせる。(あき子)

指揮者去りしステージ冬の薔薇匂ふ   ショコラ

★ステージの演奏が終り、いまだ残響の中に身を置いている。その刹那薔薇が匂う。それは、現実の花束から匂ったものか、あるいは幻の薔薇の匂いが鼻先をかすめたものなのか。いずれにせよ、プルーストの『失われた時を求めて』の主人公がマドレーヌの匂いで全てを思い出すように、匂いによって何かが紐解かれてiしまうような、あやうい均衡が、無人になったステージに流れている。(あき子)

武骨指あたりかまわず札納め   相羽宏紀

★神社、ことに遍路路の札所には縦横斜めにべたべたとお札が貼られている。天井まで貼られているのを見ることもある。その貼りようが、「武骨」の言葉を生むのであろう。その武骨さが、お札を貼る人の願いを訴えているようにも思える。(喜代子)

寒椿ほのかに紅し名無し指   坂石佳音

★「名無し指」という指があっただろうか、と改めてわが指を眺めてしまった。私の知っている指の呼び名では、親指、人さし指、中指、薬指、小指と全部名前がある。寒椿の咲く頃は、あたりの空気が張りつめて、冷たい上にも冷たい空気が漲っている。その中に咲く椿がほのかに紅いという何でもない事実が、「名無し指」によって非日常の世界に咲く花になる不思議さがある。(喜代子)

刃物研ぐ指の太さや水仙花   森岡忠志

★男の指からなめらかな刃先が研ぎ出される。水仙花が男の背に唇を向けるよう咲いている。研ぎ具合を調べるため刃物を陽に透かす時、ようやくその清冽な香りに気づくのだろう。(あき子)

寒紅をのせて小指のいとほしき   きっこ

★小指は五指のなかで、一番不出来な指である。一番端っこだし、なくても特別問題はないように思う。だからこそ、格別な指でもある。この小さな指先にぽちりと朱が乗る時、その指は妙に生々しく、そしてひとしお、いとけなく思う。(あき子)

さよならの前の指切り冬薔薇   道草

★「さようなら」はね、「左様なら」と書くんだって。英語の「see you」や中国語の「再会」とまるきり違う、「そうしなければならないのなら」っていう、どうしようもない哀しさが込められてるんだって。これを知ってから私、絶対「さよなら」は言わない。「またね」って言おうって決めてるの。(あき子)

薔薇色ワイン小指に絆創膏   雨宮ちとせ

★茶碗酒とかコップ酒などいうときの酒は卑近な日本酒を飲む風景である。だが、ワイングラスというだけでわれわれには非日常的な風景に展開してゆく予感を与えるのである。あの繊細なグラスに添えた指先は美しいい筈だという、先入観も自ずと生れてくる。それなのにその指に絆創膏が貼ってあったのだ。しかし、この絆創膏から作者の体温が伝わってくるのだから、不思議であるi。(喜代子)

指に崩れて極月の蛇の殻   ヤスエ

★石垣の窪みに、あるいは梢などに蛇の殻が風に吹かれていたりするのを真夏に見かけることがある。蛇は何かに己の皮を引っ掛けて脱ぐらしい。その皮が秋を経て、冬になって草木の枯れ尽くしてしまった頃、目についたのだろう。崩、極、殻の三文字の相乗効果で乾燥した蛇の殻の粉々になる感触がいっそう伝わってくる。その感触はまた、一年の月日の壊失感にすりかわっていくのである。(喜代子)

魚掴む五指あらわなる手袋で   森岡忠志

★釣や沢登りで使う手袋には指先がカットされているものがある。濡れてしまうのになぜ、と不思議だったがフィッシンググローブの説明書には「ロッドのグリップ感が高まり、魚のエラやトゲなどでケガを避ける意味もある」とあり、しかし、細かい作業のために指先はフリーに、という理由があるらしい。なまなかな愛護をとなえるつもりはないが、釣でも狩猟でも獲物を手にする時には素手で触ってほしいと思う。掲句の「五指あらわなる」は、単に手袋の形態を指すだけでなく、命をもらう覚悟が表れているのだと思う。(あき子)

落書きの指ふたつあり窓の露   shin

★まだ爪の柔らかそうなふたつの指が、湯気で曇った窓にクマやらウサギの絵を描いている。ピンクの指先が紡ぐ透明の線から覗く向こう側の景色は、きっとマッチ売りの少女が眺めていたような幸せな団欒風景に違いない。俳句では「露」の印象が秋の季語である野外に発生する自然現象に捕われてしまのが残念だが、冬の室内の湯気をたてた窓の曇りだということは充分伝わった。(あき子)

鉄強く匂ふゆびさき冬ごもり   蝉八

★ 指先に残る鉄の匂いは、冬支度の作業で付いたものだろうか。長い冬を過ごすための準備は、ストーブを出したり、庭木の雪囲いをしたり、そうそう、雪国では車のタイヤも冬仕様への交換が必要だ。作業を終える頃にはすっかり日も落ち、冬ごもりへの準備が整う。鉄の匂いが、身体を巡る血の匂いに重なる。(あき子)

あそびたい人この指とまれ青木の実   ショコラ

★そういえば、「……したい人、この指とまれ」と、大声張り上げたことがある。この句は、そんな幼い世界ではなく大人の匂いがする。多分、「青木の実」という湿りを帯びた実のせいだ。誰もが聞いたり言ったりしてみた卑近なことばなのに、 淋しさが漂う。だからこそ、青木の赤い実がいよいよ印象的になる。 (喜代子)

ケ−タイの指騒がしく聖夜かな   なかしましん

★「増殖する俳句歳時記」で清水哲男氏も書いていたが、携帯電話を「ケータイ」と表記することで、小型のパソコンと化した多機能携帯電話を使いこなしている若者の姿が表出した。指騒がしく、となるとメールであろう、と見当はつく。聖夜、となると恋人であろう、と見当はつく。小道具は変わっても、いつの時代も恋する若者の姿が消えることはない。(あき子)

指笛に賛美歌慈善鍋まもる   たかはし水生

★「慈善鍋」「社会鍋」とは、サンフランシスコ発祥の「Christmas Kettle 」から由来するものだという。「恵まれない船員たちに温かいスープを」と札が下げられた船員キャンプ用の壷が、街頭募金の元祖となり、明治42年に日本にもやってきた。しかし日本では、「クリスマスを祝う」より「年を越す」という切実な思いにこそ、慈善鍋は定着したように思う。(あき子)

数へ日の指名手配の写真かな   夏海

★何事かをしでかし、顔をさらすことになった人々。時効までの日を指折り数えているのだろうか。正直者も嘘つきも、赤ん坊も老人も、時間は同じ一秒一秒を刻んでいく。長く感じようと、短く感じようと、それはそれぞれの生き方次第。(あき子)

指の傷癒えて師走の台所   ヤスエ

★忙しい時に限って怪我をしてしまうことがある。よりによって年の瀬に怪我をしてしまった。誰に何を言われるわけではないけれど、自分で自分を責めていた。ようやく癒えた指で、てきぱきと家事をこなす。これが本来の私。次から次へ続く家事をこなす都度、傷跡が残る指先がほんの少し疼くのだ。(あき子)


予選句

大粒のイチゴの夢をつまむ指曇遊
指切りの指が足りない万愚節
雛の日や指三本の看る波濤坂石佳音
朧夜の指の記憶に追ひつけず
嫁ぐ日を指折り数う置炬燵雲母
指貫は母の手作り桃の花佳子
歳時記に指しおりして初音聞く宮 沢子
突き指の痛みの取れし温む水十文字
ヘッド・ピン狙うぞ指の汗ぬぐいむげん
指ふれて天地はじけるシャボンダマむげん
寒げいこ指に気合いを素振りかなむげん
フランスパン指でちぎって牡丹雪むげん
悦楽が匂う指かな猟なごりむげん
寒月や指をあわせて無我の境むげん
花ごろも脱ぎゆく指のエロスかなむげん
恋のうた春の風さす大和路やむげん
有明や麻酔にうごく指の胼胝潅木
マウス繰る指かげろふを追ひかけるショコラ
春いちばん指かじかんで初ゴルフむげん
乱れたるままで小指も朝寝かなむげん
指もはね都おどりのヨーイヤサむげん
カラオケや指のぬくもりマイクにもむげん
寒げいこ指しなやかに竹刀ふりむげん
春の句を指たどたどとキーボードむげん
吾子の指春光つまむまた撮むミサゴン
猫の恋指に回せる指輪かな千種清美
スキー板指を舐め舐め履かせてるacacia
指編みの新しき技冬帽子徳子
指先の葱のにほひを言はれけり柘植史子
セリの声ゆびもしばれる閑漁期かむげん
うたかたの指の間にまに雪の花むげん
指つめの跡か魔性の雪おんなむげん
初恋の指きり哀し天おぼろむげん
指パッチン あれ?マジシャンの タネあかしむげん
若さぎの穴づり指のときめきよむげん
霜やけの足の指がグウチョキパミサゴン
あふれでる野生の水に指凍みてむげん
雪みざけ指をからませ露天ぶろむげん
初場所の指ずもうかな負けてやりむげん
クリックの人差し指も春を待つacacia
クリックの人差し指は春を打つacacia
流氷来セドナの指のつぶらな目坂石佳音
子の丈に指の跡ある障子かな以和於
霜の窓指で記せし名の流れ以和於
日向ぼこ両手の指の影絵かな十文字
春近し婚約指輪煌めきてハジメ
朝刊をしごく指先冬の音十文字
おにぎりの指に一粒離れざる十文字
指の皺母老い給うこと勿れ弁慶
メール打つ指忙しき雪女郎以和於
鍼灸の指の疼きや春隣
指切りの記憶のなくて雪催ひちづこ
指図するメゾソプラノの母朧真珠
拝むとき指を揃へる初日の出十文字
泣き顔も笑顔もおんなじ指人形こうだなを
星ひとつ 指さすあたり 流れ逝くほんだ むげん
雪あかり指名手配の眉の濃きアラマ
指ひらに 乳くび炎え勃つ バラの芽やほんだ むげん
母に似し小指短き寒椿ちかこ
四温光読めぬメニューに指を指す閑人
指と指つないで黙る冬の海解時
うつむけば 細きうなじに 白き指只野 みつ子
着ぶくれの赤ちゃんの指のぞいてる曇遊
寒牡丹仏の指のやさしかり
指握る嘘つくときの君の癖たゆら
かの戦父指なくし手ぶくろすミサゴン
元朝や指体操のうやむやに真珠
ページ繰る指悴みし年鑑誌かおる
指先に親温もりの寒卵ゆうじ
初御空指輪をはずすこともあるとちの実
指でやるトライアングル冬星座ミサゴン
数へ日の指をこぼるるビーズかな夏海
初春の指の先から始まりぬACACIA
薬指すこし寂しい寒の入こうだなを
指折りて偲びし友や去年今年なかしましん
指先にぬくもりありて若井かな野帳
若水や指のさきから冷たくて野帳
Stand By Me 指先に牡丹雪雨宮ちとせ
幼子の指にしっかり冬つかみゆうじ
雪遊び果てて指紋の疼きけり括弧
凛とせし指立ち上げる水仙花顎オッサン
極太の指に触角注連を編む道草
皸の指に瞬間接着剤道草
指切の遠き昔よ卒業歌RICKY
棗の実人差し指は誰を指すRICKY
春燈のまどゐに指をからめつつRICKY
厳冬の剪定ばさみ指太しacacia
指からめなんて照れくさクリスマス括弧
指冷えて狂気の二、三持ち合わす花茨
婆ゆずり割干結はふ技の指文里
指間より光あふれて冬茜ミサゴン
年賀状ひとさし指で送信す曇遊
年の瀬や株価指数は冴えぬまま以和於
時が逃げ指が追いかけ年の暮れミサゴン
釘を打つその指先に息白し宮 沢子
手袋の兄さん指が頭だすミサゴン
クリスマス何ももらえず指を咬むミサゴン
雪降る日第九指揮者の燕尾服なかしましん
ベース弾くヒロの指先ジャズクリスマス・・紅香
言ひ訳を聞いてるブーツの中の指ショコラ
窓は露お絵かき競ふ指ふたつshin
青写真肌荒れ指数孫二人なかしましん
深爪の指いとほしく冬曝るる文里
暮れの内木蓮の芽の天を指し文里
能面の指の動いて年の暮れミサゴン
指家族そろって働くすすはらいミサゴン
ホットケーキ見えないところを指で捺すミサゴン
金指輪夫は投げ捨ててりんごその指紅香
てぶくろの指人形がこんにちは雛菊
クリックの指が描きゆく聖樹の灯かおる
み仏の指たほやかに冬麗早田睦美
知ってても指図をあほいで年用意山田幸一
指先を編む退屈の去年今年
冬銀河ウソを承知のゆびを切る蝉八
煮大根を俟つに指折るをとこかな岳 青
いつまでもそのままでゐる指相撲ハジメ
ながいもや曲がりのままの母の指紅香
白息の見えざる闇に星座指す括弧
栃蜜を指ごと舐めし師走街acacia
とつおいつ小さき指触る風邪寝かな坂石佳音
Enterキイ指跡著く十二月
顧みてこの十年や指のひび岩田 勇
ローションの瓶の指紋や雪催ショコラ
拳万の小指悴む夜の嘘こうだなを
長き指烏賊の腑そっと抜きにけりACACIA
幼子のぴょこぴょこ指や冬温しACACIA
シイの実と指が笑ってコロリンコ曇遊
またあした指切りの指つめたすぎとちの実
寒風や指名手配の顔写真なかしましん
クレーン車の指差呼称花つばき夏海
指南車のあらまほしけれ去年今年平田雄公子
指差しはおぞましきこと由紀夫の忌平田雄公子