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万葉集開きしままに春の夢  麦秋

★春の夢には儚さの本意がある。万葉集にはそれぞれの時代の変遷があるが、ひとり万葉集をひもときながら、古代の人々の心に遊ぶのも春の夜の一興だろう。さらに夢の中で作者は、万葉人と化しているのかもしれない。(長嶺千晶)

蕗の薹百万年のうすみどり  倉本勉

★春先の雪解けの地上へ顔をのぞかせる蕗の薹。このうすみどりを「百万年」と言いとめたことで、植物の命の不思議が感じられる。限りある命のくりかえしはやがて永遠へとつながるのだろうか。(長嶺千晶)

遠山に霞かかるや万華鏡  河童

★子供のころ、万華鏡の美しさ、複雑さに惹かれて、何が入っているのかと分解してみたことがある。鏡の棒が3本とビーズが3個、色硝子の破片と、鉄片がひとつ入っていただけでがっかりしたものだ。霞がかった遠山はきらりと光るものがあったり、桜や芽吹きの色が万華鏡を思わせるのだろう。霞のもつオブラート効果のあらわれかもしれない。(長嶺千晶)

白魚の幾万の目が生きんとす  河童

★食通はおどり喰いを好むらしいが、白魚のあの透きとおった体に目ばかり黒々とある様子はあわれに思えてしまう。「幾万の目が生きんとす」という意志に満ちた表現が、逆に命のはかなさをきわだたせている。(長嶺千晶)

オフェーリアの眼に笑ひあり万愚節  匙太

★シエークスピアの悲劇「ハムレット」に登場する女性で、ハムレットの恋人であるオフェーリアの眼に笑いがあるという。それは、罪のない程度で、いたずらしたり、ウソを言い合うことが許されるという万愚節なればこその「目は口ほどにものをいう」おもしろさがある。(竹野子)

春の夜の万灯に魅せ友想ふ  万香

★阪神・淡路大地震で亡くなられた多くの御霊を祭るために、わが町、伊丹の昆陽池公園でも、多くの人が集い、万灯会が行われた。慰霊の灯火を手向けながら在りし日の友の姿を偲び懐かしむひとときが・・。(竹野子)

万華鏡覗けば春の未知の海  acacia

★子供のころ万華鏡のことを「のぞき」といっていた。祭りの夜店で初めて「のぞき」を買って貰って、友達と代わるがわるに回し覗きをして、時の経つのを忘れるほど見入っていたものである。うきうきとした春の情意と呼応する万華鏡の本情が、未知の海とつながってゆくのである。(竹野子)

引き絞る弓万緑の中にあり  橋本幹夫

★四方すべて緑。そのような中で弓を引く。緑陰というとても気持ちがいい空気のあるところで姿勢よく、弓を精一杯に引き絞っているのはどんな人だろう。凛とした若い女性、それとも幼さの残る少年などと想像がふくらむ。弓をつがえて引く前の、緊張感みなぎる静寂を思わせる(禎子)

からからと風の暴れる万愚節  遊起

★からからと音をたてて風が吹きまくっている、乾いた青い空に吹きわたっている強い風、その風音を聴いている、四月一日。せっかく咲いた花を散らしたりする強風、気温が一定しない、この頃の季節感を表していると思う(禎子)

花万朶西行像の目はしづか  遊起

★「願はくば花の下にて春死なむそのきさらぎの望月の頃」と詠って、その通りに死んでいった西行。花とは切っても切れない関係にある。その西行の像の目がしづかと、きっと穏やかな眼差しをしているのだろう。辺りは満開の花。よく風景は分かるのだが、目のしづかな感じが柔らかな花によって薄まって、もし、目のしづかさを際立たせたいのであれば、季語をもう少し考えてもいいのではないだろうか(禎子)

万緑の隅に居並ぶ農の神  遊起

★どこか大きな森の端に神社がある。森は杜でああろうか。その神社にいくつもの祠が木下闇にあり、農業を司る神々、田の神々などが祀られている。豊作を願う農民の一生懸命な気持ちが表れていて、いかにも日本的な素朴な風景である(禎子)

世の中を多角化すると万病の元  尾崎広介

★多角化とは世の中を多方面・多分野に拡げることと広辞苑にある。現代は多角化の時代。そういう世の中に対して、多角化するとグローバルにあらゆる病が広がってしまうので、多角化しないほうがいいと作者は警告しているようだ。
 たとえば、インフルエンザ、動物の口蹄疫などとあり、グローバル化によるマイナスのリスクも高い。勿論、プラスのことも多いのだが。俳句には無季のものもあるが、この句はどちらかといえば風刺的であり、川柳に近いのではないだろうか(禎子)

人生はそれ自体が万金だ  尾崎広介

★人生が万金に値するほど価値のあることだと言っているのか、それとも人が生きるということは多額の金銭を必要とすると言っているのか。おそらく前者ではないどろうか。そうだとすると、作者はとても充実した、良き人生を歩んできたのに違いないと思われる。こう表現されると格言のようにも聞こえる(禎子)

つきたくのなき嘘をつく万愚節  橋本幹夫

★万愚節は四月馬鹿、四月一日、この日は嘘をついても許される。故意に嘘をついて楽しむのである。季語にそのような意味があるので、この句の場合、「嘘をつく万愚節」はつき過ぎのようにも思えるが、「つきたくのなき嘘」となると、やむ を得ずついた嘘ということになり、季語の万愚節で、どこか自嘲している作者の苦しい立場が見えてくる(禎子)

馬酔木咲く万葉の道よちよちと  小夜

★心躍る王道の詠いだしです。万葉集に詠われているのですから、非常に句歴を重ねられた達者なかたの作品だと読み出したのです。しかし、下五のよちよちはどうしたのでしょう。幼子あるいは老人の歩き方を表現しますが、よちよちなどと、卑下する必要があるでしょうか。せっかく上五、中七で大人(うし)の風格で詠いだしたのですから、大人の歩みを表現してください。下五で崩してしまいましたね。残念でした。(平林恵子)

雪解けや万の一滴さらさらと  小夜

★一滴とはしずくですね。読む人にいろいろおもいを想像させることが必要なことです。そこまで読む人を引っ張っておきながら、さらさらと軽く流されてしまうのは、期待がはずされた気分です。あと一息のところを、どうか締めていただきたいのです。(平林恵子)

輪中いま一〇〇万本のチユーリップ  たかはし水生

★今回20句ばかりの句稿を拝見した中で、群を抜いた作品でした。課題の万がとけこんで詠み込まれており、見事で、輪中の景色が、自然に目の前に広がりました。大変教えられました。(平林恵子)

よろずやの並ぶ川原や水温む  ひろ子

★課題の文字はやはり漢字で表現するべきでしょう。ガレージセールのようなものでしょうか。写生は大切ですが、ともすると報告の感がします。川原で水が出てきても、何も面白くありません。雲雀鳴く、とか揚げひばりなどを当てれば、下ばかり見て歩くつまらなさから解放されますね。ご参考までに。(平林恵子)

万葉の里の継橋風おぼろ  しんい

★数を作ることが楽しくなっておられる時期の方なのでしょうね。よく分かります。 おぼろは、石や草や月や実態のあるものにつきませんか? 継橋そのものがおぼろで良いのではありませんか。おぼろなり、あるいはおぼろかなで充分だとおもわれますが、そちらの句会のご意見も伺いたいものです。(平林恵子)

磨きゐる万古の急須暮の春  しんい

★穏やかな環境に暮らしておいでになる、難のない句でした。使い込むことによって、艶が増すそうですが、壊さずにながいこと使い込むことも、穏やかな暮らしあってのことでしょう。(平林恵子)


予選句

桜ゆらゆら桜さく万葉歌ゆうじ
雨蛙跳んで万歳してゐたる倉本勉
秋の雨小学校の万国旗倉本勉
沢庵の上に茶袋万愚節河童
万物の濃きより出づる穀雨かな河童
院の窓万朶の花を遠く見る河童
馬酔木咲く万葉の道よちよちと小夜
万力の堤に桜あふれ咲く小夜
盛り万年乙女ここにおり小夜
迷い道万策尽きて山笑う小夜
春の土手くるくるまわる万華鏡小夜
花食いの万福長者雀かな小夜
侘び椿万感交々遅れ咲く小夜
馬酔木咲く万葉の道よちよちと小夜
幾万の花破れ落つ帰り道小夜
この国で今必要なのは万民力尾崎広介
職人技達成するには万里の道尾崎広介
新政策独り歩き万恨化尾崎広介
新政権なかなか気付かぬ万目に尾崎広介
人は皆いざというとき万能に尾崎広介
万(よろず)の事人の気無視して万変す尾崎広介
万福は自ら努力し勝ち取るべき尾崎広介
人命は他に換え難い万物の霊尾崎広介
土砂降りの畦に万(よろず)の蛙鳴く橋本幹夫
迎え傘万太郎忌の浅草へ橋本幹夫
万歳を幾万したり終戦忌橋本幹夫
右足を前に万歳鰯雲橋本幹夫
万歳師家系辿れば三河武士橋本幹夫
二万回起きて笑つて秋深し橋本幹夫
観音に至る参道万灯会/td>橋本幹夫
万両の瓜実顔に夕の雨橋本幹夫
降りいそぐ桜の中や万華鏡しんい
万葉の風をころもに藤の花しんい
めくるめく千鳥が淵の花万朶しんい
万歳と天に声上げクロッカスしんい
万緑の山また山へ道つづくしんい
春光の父万年青年なりacacia
万神未だ眠りて山吹雪くacacia
万に一つの幸せ春の野辺acacia
春の夜の万灯に魅せ友想う万香
万巻の辿る文字にも春麗万香
桜花万筋上に注がれて万香
万景の八ヶ岳見る春の雪万香
万緑の生命息着く草木かな万香
春の夜を万巻の書に酔いしれる万香
万感や辛い春ほど懐かしき匙太
春の夜や万葉仮名が動き出す隠岐灌木
硝子戸の映す万引きサイネリア隠岐灌木
万力の噛みこぼす屑沈丁花隠岐灌木
巣立鳥気圧の谷の万が一隠岐灌木
万感の涙ながして卒業すひろ子
万人の愛玩となる子猫かなひろ子
万感の彩るあした卒業すひろ子