今までの兼題

第1回第2回第3回第4回
第5回地球第6回第7回第8回
第9回第10回第11回第12回
第13回第14回第15回兄弟第16回
第17回第18回第19回第20回
第21回第22回第23回第24回
第25回第26回第27回第28回
第29回第30回第31回第32回
第33回第34回第35回第36回
第37回第38回第39回第40回

2月18日までの投句

黒揚羽ニライカナイよりおとづれる   土下信人

菜の花にふれてあそべり黒揚羽

★蝶の種類によっては大変な距離を飛び海を渡ると聞いている。 黒揚羽がその種類かどうかは承知していないが、肩先にとんで こられると、思わずたじろぐのである。それゆえに彼方の楽土 から飛んでくるのだといわれれば説得力があり、納得してしまう 地方色を含んだ、一句目であった。 わたしは神奈川県の足柄に住んでいる。黒揚羽の飛び方は確かに遊んでいるように思えるのだが。黒揚羽が庭に来るのは 柑橘類の花盛りになる七月ごろである。歳時記によれば菜の花 は春、黒揚羽は夏の季語になっている。今回発行所から来た句 稿は20句で、土下さんの句は、その中に6句あった。 その作品だけを頼りに、お住まいがどこなのか判断は難しいが、 沖縄に居られるのだとしたら、菜の花と黒揚羽が同時期に存在 するのが、当たり前の景なのだろうと想像したところである。(恵子)

太陽に黒点白魚に眼     塚本惠

★遠近、大と小、動と静、赤と白というように対比を見事にぶつけている。図らずも成功されたのだろうか。緻密な眼力を発揮さ れていると見た。(恵子)

黒縁の中で微笑む梅の花   ミサゴン

★眼鏡を使っているわたしは、黒縁眼鏡かとおもい、眼が笑っているのかと想像しかけた。でも、黒枠にもとれると気付いた。微笑む のは矢張り顔であり眼は微笑むとは言わないのであった。(恵子)

春一番黒きバイクを追ひ越しぬ    橋本幹夫

★秦野の煙草祭りにはなぜかラビットソンのパレードが入っている。体格の良い人たちが揃って乗っており独特の唸りが遠くから聞こ える。掲句はバイクではあるけれど黒いと表現されると、その塊の ようなスピード感が聞こえてくる。今年も春一番が吹いたばかり、事故の無いように願うばかりである。(恵子)

真つ新の黒帯つけて寒稽古   ハジメ

★まっさらが好い。黒帯の有段者の気合が込もっていることを、如実に表している。道場の声が手に取るように聞こえてきた。(恵子)

黒色の鉛筆が好き初日記     橋本幹夫

★黒皮の三年日記を買った橋本さんが眼に浮ぶ。作品を通してわたし は若い方を想像したと書いた。句稿と向き合い、常連の名前だけで 勝手なことを申し上げている。鑑賞者の特権であろうか。(恵子)

春風や黒き瞳に映る吾    土下信人

★まさに春風の中の風景である。恋の句として自分史として記録しておける。ここでの焦点は黒き瞳。そこに自分が映っているとする風景として誰もが自分にひきつけて描くことができ、駘蕩とし物語を生む。(喜代子)

黒猫のすり寄つて来し初詣     海音

★初詣は非日常と日常の境をなして居るかもしれない。その特別な意識のなかに入ってきた黒猫が、不思議な存在感を持つ。

黒帯に気合を込めし寒稽古     横浜風

★寒さの厳しい朝の、柔道あるいは空手の稽古風景が目に浮かぶ。黒帯をきっちりとしめ、目には力が入り、じっと向い合う相手を見つめる。突如鋭い声が飛んだりし、緊迫感が黒帯という引き締まった色で出ていると思う(禎子)

初句会ラッキーカラーは黒として  さわこ

★黒は永遠、神秘、守護だそうである。作者はお守りの色として黒色をとらえている。喪服の黒一色、留袖の黒地と、悲しみの色にも、喜びの色にも使われて、黒は不思議な色である。初句会の成績はきっとよかったに違いない(禎子)

闇という黒に抱かれ山眠る     西方来人

★闇はくらいこと、光のないこと。黒は光のないことで暗い、すなわち闇である。この句は漆黒の闇が支配する奥地の、静まり返るそれこそ眠っているような、冬の渓谷にかぶさっている山。過疎の村か一軒の宿しかないようなところであろうか(禎子)

漆黒の闇懐かしや凍豆腐  たんぽぽ

★不夜城のように明るい都会に住むと、夜が漆黒の闇であることなど忘れてしまいがちである。凍豆腐は寒夜も戸外に出して、こおらせ、乾燥させるという。夜の闇に並べられた、凍豆腐は故郷の思い出であり、煮含めた鄙びた味もまた、郷愁を誘う。(長嶺千晶)

モナリザの微笑黒衣の淑気かな   西方来人

★レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた内観的な絵画「モナリザ」ほど好悪をこえて知られた絵はないかもしれない。実際には深緑の衣装だが、黒衣とみることでより淑気を醸し出す。難しい季語を、新しい切口で展開している。(喜代子)

黒板に「賀正」と書きし恩師逝く   橋本幹夫

★「賀正」という文字を黒板に書いておいたのは暮れ、すなわち年末の最後の日に新学期のために書いておいたのか。あるいは、新年最初の日に、生徒に貰った年賀状に応えるべく書き込んでおいた文字である。だが、それからまもなく恩師は亡くなってしまった。ただそれだけの叙述であるが、特別な死であるかのような印象になるのは、「賀正」という新年の季語のせいであろう。賀正という言葉がいよいよ厳粛に受け止められる。(喜代子)

黒猫の竈猫とはならず去る   祥子

★竈猫とは懐かしき!都会では見かけなくなったが、田舎では竈文化の残っている所が有る。大晦日など、遅くまで竈を使う。越年の用意を終えて深い眠りについた頃、猫が竈に入って暖をとり、猫の毛などに熾き火が燃え移ると、火傷を負ったり、火事にも成りかねない危険を孕んでいる。猫の行動を見守る作者の安堵の表情と優しさが伺える。(竹野子)

成人の日の黒雲の行方かな   遊起

★「成人の日」の本意は「元服」即ち、男子が成人したことを示すために服を改め初めて冠をかぶった儀式であり、襟を正す儀式である。子供が駄々を捏ねるような面白おかしな催しなど必要なかろうに・・。連休を増やすために第二月曜を祝日にするような軽易なものだろうか?とりわけ今年は、黒雲に覆われ、景気の悪化と雇用の不安が付きまとう厳しい世相に、心から喜べたであろうかと黒雲の行方が気になるところである。「諸君の健闘を祈る」こんな気持がこの句の支えである。(竹野子)

月山は臥した黒牛初茜   中村光声

★出羽三山のひとつ月山はたしかに牛、それも黒牛のように見えるのは、冬季の特徴である。今年は牛年であればその目出度さも一入のもの。初茜のめでたさを、月山に象徴している。(喜代子)

黒皮の三年日記を買ひにけり    橋本幹夫

★ともすると黒は暗いにつながりやすいのに不安なく選句した。三年日記がこの作品の眼目で、働き盛りの年齢でなければ、たとえ数年であっても永い物の選択は躊躇するであろう。自信ある未来が見えるのである。(恵子)

冬麗や瑞穂の国の大黒天   華子

★黒という課題で色に執着しやすい中、大らかな作品に出会った。冬麗という季節が収穫のあとの、穏やかな田畑を想像させる。さらに瑞穂の国が豊作であったろうことが、容易につながるのである。句暦の深さがにじみ出ている。(恵子)

黒服の列して御用納めかな   西方来人

★完璧な官庁を詠っている。12月28日は顔を出すだけで、乾杯をして解散の時代は遠く、窓口のあるところでは定刻まで執務する時代になった。さらに平成20年には29日も窓は開いた。時代を懐古させる一面もある句。多作の中から一句を自選することも大事ではなかろうか。(恵子)

黒髪にふわふわ纏う静電気   九

★静電気はまだ季語としての登録はない。しかし、やはり空気の乾燥する冬こそ、静電気の季節ともいえる。こうした読みが定着してくれば何時か静電気が冬の季語となるかもしれない。この句は、頭部の黒髪の浮き上がりに焦点を当てながら、季節感を感じさせてくれる。(喜代子)

黒猫も白猫もみなねこじゃらし   土下信人

★この句は猫を見ていて想を得たのか、あるいはねこじゃらしを見ていて一句になったのか。前者なら、猫たちのしなやかな姿態がねこじゃらしへ飛ぶし、後者なら、野のねこじゃらしのそよぐ光景が、猫と重なるのである。いや、両方の場合がフラャシュバックして、どこか幻想的な光景になる。(喜代子)

教会の黒く冷たい懺悔室    ミサゴン

★ カトリックの教会には、隅に懺悔をするための部屋がある。信者だけしか、入れないこともあり、秘密めいて、暗いイメージがあることは否めない。「黒く冷たい」はそれをよく詠みとっていると思う。もともと、自分の罪を人に告白するなどということは黙って耐えることを美徳とする、日本人には馴染めない制度かもしれない。しかし懺悔とは、今でいうところのカウンセリングのかたちなのである。キリスト者にとって一番の罪は神から心が離れること。それを回心し、罪を許され、心をリセットし、喜びのなかに生きていくことがその目的なのである。(長嶺千晶)

黒猫は炬燵の上の哲学者     半右衛門

★思索は、やはり静止の状態から生まれると誰も思っている。炬燵の上に蹲ったように動かない黒猫の思惟的な雰囲気はやはり哲学者のそれである。「哲学者」と言いきる断定が一句を屹立させている。猫の静さを哲学の言葉に結びつけたものは、まだ無いだろう。(喜代子)

那智黒を手土産に小春日和かな    廣島屋

★那智黒は黒色の特に硬質な粘板岩。碁石、硯石に用いると広辞苑にある。硯でも手土産にしたのだろうか。小春日和の柔らかさに対して黒々とした硬い石との取り合わせが生きている(禎子)

葉牡丹に黒き目ひとつ欲しと思ふ    じゅん

★葉牡丹には赤系統と白系統とあるが、たぶんこの葉牡丹は白いというよりクリーム色の花の方であろう。芯が薄紅の色で美しい。眺めているうちに美しさの単調であることに気づき、アクセントが欲しくなった。黒き点と言わず、黒き目と言ったところに詩心を感じる(禎子)

黒鍵に今朝の寒さを叩きけり    橋本幹夫

★ピアノを弾いていて、寒いので指がぎくしゃくとし思わず力が入り、黒鍵の方を強く叩くように弾いてしまった。だが、実際に叩いたのは寒さだったのだ。寒さは目に見えるわけではないが、冷たい空気である。黒鍵と一緒に冷たい空気を叩いたのである。どんな曲を弾いたのだろうか。ショパンの練習曲に右手は黒鍵のみを奏するとあるが(禎子)

燗熱うひと日黒子に徹しけり    じゅん

★御看板とは全く別の意味を持つ言葉で同じ発音のお燗番がある。 地方では今でも、人寄せの台所は隣近所の手助けや応援があって、行なわれる。寒さを向かえ温燗ではまずい。心得たベテランが熱燗を支度するのだった。掲句ふとそんな光景のお燗番という懐かしい言葉が思い出されたのだった。しかし「徹しけり」で終わっていた。「燗熱う」は見えないところで存分に努力した一日の自分への労いであったことだろう。上等な銚釐が眼に浮かんだ。(恵子)

目覚めれば黒一本の冬の川     阿愚林

★「黒一本の冬の川」という極めて簡略な表現が生きている。誰でも目覚めると、まずは窓辺によって、戸外へ視線を移す。そこに見えたのが冬の川、しかもまだ明けきらない薄闇の中で、川はくろぐろとした闇を湛えていたのであろう。まわりの風景のすべてを省略して、川だけに焦点を合せているのである。「黒一本」という太い輪郭が、いかにも冬の早朝らしい。原石鼎の「朝戸繰りどこも見ずただ冬を見し」を思い出す。(喜代子)


予選句

離れ行く影黒々と日脚伸ぶミサゴン
黒縁の中で微笑む梅の花ミサゴン
冬うらら腿に黒子の足湯かな西方来人
黒南風にのせた恋文紙飛行機土下信人
黒牛が尾の悴みて阿蘇吠ゆる橋本幹夫
湯豆腐やいつも黒白つけぬままこさぶ
ほっぺたに石黒飴や猫柳 塚本 惠
梅茶会手にぬくかりし黒茶碗ひろ子
黒人のプレジデントか冬薔薇こさぶ
インゲンに黒胡麻あえて春浅し土下信人
黒猫のタンゴも踊春うらら土下信人
颯爽とモネのごとくに黒日傘土下信人
黒縁の中で微笑む梅の花ミサゴン
外灯の向こうは漆黒小夜時雨西方来人
余寒ありオセロゲームの白と黒海音
山焼きの大地に秘めし春の宴ありたひろこ
黒々と烏の朝食冬の道内藤もみじ
春の雪天城山中白と黒ミサゴン
乳母車黒い瞳に温まる内藤紅葉
黒船に怯みし浜や春立ちぬ橋本幹夫
焼芋や香残る黒き指の先重箱
採血の赤黒き血や冬深し荒井大介
炎見る子等の瞳の黒きかなacacia
昨日から雪降り止まず枝黒しacacia
黒森のかがり火二つ初詣西方来人
薪黒く残りて夜更けのしじまかなacacia
黒烏雪の晴れ間に飛びたてりacacia
暗闇に鉄塔黒く寒の雨西方来人
黒葡萄どこから筆を入れやうか夏海
初詣絵馬に黒くイニシャルが内藤紅葉
往昔の黒きトンネル虎落笛西方来人
黒き翳こもり苔むす圓通寺土下信人
黒髪やとしふる月日身にぞ入む西方来人
浅間山漆黒闇に紅を点し西方来人
黒雲に無尽蔵なる稲光土下信人
酌み交わすおでん卵の黒きかな西方来人
寒夜ふたたび「暗黒への出発」岩田  勇
春まだかににんの黒文字霞みけりミサゴン
真っ黒な 眉に雪まとう 樹氷土下信人
雪明り黒のシスター時間問い西方来人
水ぬるみ田んぼをつつく黒き鷺土下信人
黒猫の腹出し眠る冬うらら西方来人
羽の黒やっぱりつうは鶴になるミサゴン
初芝居お負けのやうに大黒舞じゅん
年明けてまた黒髪が減った母
鶴の首黒竜江をめざしけり祥子
黒き眉黒き瞳やマスクしてハジメ
黒潮や若駒跳ねる都井岬祥子
黒という得体の無さや冬の靄西方来人
ツンドラの黒竜江は流れをり橋本幹夫
初夢も見られず白む夜明けかな下田 冬惠
黒豆はしわしわが好き春隣たんぽぽ
かじかみて写経の朝や初硯ひろ子
用水についてまがれば黒い街隠岐灌木
大黒が打出の小槌福詣橋本幹夫
冬さうび黒一輪の抜きん出て橋本幹夫
冬茜老舗酒屋の黒格子西方来人
春浅し蝶ネクタイは黒い色さわこ
黒猫の大きくなって初不動さわこ
真っ黒な桶の宇宙を海鼠かなミサゴン
寒星や黒幕の穴数え寝るミサゴン
自在鉤黒々寒夜の火盛る森岡忠志
初日影眼前黒部五郎岳じゅん
黒門の弾痕著し寒満月じゅん
冴え月や陰なるものを真っ黒に重箱
雪晴やソーラーパネル黒々と 森岡忠志
黒豆と酒を少しく女正月西方来人
セーターは黒と決め手の初鏡さわこ
蕎麦掻や店の柱のうす黒き西方来人
末黒野の日取り決まりて酌み交わす西方来人
黒々とさらに黒々冬の夜土下信人
つぶれし黒終止符のごと冬の蝿重箱
芋羊羹黒飴樋口一葉忌たかはし水生
筆始め卦算は黒き山の石橋本幹夫
孫の泣く障子影絵の黒き木々西方来人
白菜の根本の黒き道の駅橋本幹夫
何描かむ空の黒板冬の月中村光声
茎漬と古代黒米飯の餐たかはし水生
北風や黒糖団子蒸かす音祥子
真つ黒なしつぽ揺すつて猫の恋曇遊
黒豆を十粒食べて仕事初めacacia
書初めの黒きにじみに平和あり小夜
墨汁の黒光りして書初す橋本幹夫
直売の真黒き白菜洗ひけり橋本幹夫
小春日や望む白嶺は黒い雲西方来人
初恵比寿大黒天にも酒捧ぐ西方来人
黒の地にしんしん積もる小雪かな
雲黒く昭和の年号最後の日なかしましん
ガングロの乙女はどこに冬篭り土下信人
雪原に浮かぶ黒点散居村岩田 勇
冬すみれ黒より深きものはない半右衛門
黒板に校歌清書の卒業子森岡忠志
黒蝶の氷上高く舞い上がりacacia
雪女消えて黒々濡れる路地森岡忠志
ぬばたまの 黒き闇にて初詣土下信人
黒蟻のごとくキャビアのれる餅土下信人
黒松のばさりと落ちし雪の音西方来人
白黒を言うて騒いで忘年会半右衛門
黒塀の猫の渡りを見届けり西方来人
着ぶくれて黒子躓く村芝居半右衛門
冬海と空の一線黒きかな西方来人
冬晴れや黒潮透けて珊瑚礁西方来人
夜の更けてハイビスカスも黒きかな西方来人
蕎麦掻や店の柱のうす黒き西方来人
腹黒のひとの震へし霙かな横浜風
雲水の黒衣の黙や師走街華子
黒足袋の縫い子の子犬伸びたロク月湖
煙草吸い黒白勝負の囲碁を打ち緑浪
桜落葉裾ひく黒塀角館華子
白黒のビデオ見てをり年の暮ハジメ
この黒い雲の上には冬日燦ミサゴン
寒灯や黒板揺れる無人駅西方来人
あらたまの黒豆ひたとひかるかな遊起
部屋に沁む黒きラジオの除夜の鐘 橋本幹夫
黒豆に金粉まぶす正月や土下信人
どっしりと大黒柱冬座敷西方来人
白髪をぼかして黒や冬帽子西方来人
黒猫に覗き込まれる年の暮れ西方来人
連山の冬夕焼けに真黒なる岩田  勇
漆黒の歩を書く山は雪深しacacia
シュプール号冬終着は黒姫駅橋本幹夫
逆光にさらされ鷹は黒い鳥ミサゴン
黒焦げの鍋を洗いて師走かなacacia
折紙の黒を残すや冬休み廣島屋
はさまれて黒うらがへる漱石忌廣島屋
鵜匠らの黒子になりて綱さばきひろ子
太陽の黒点消えて冬温し半右衛門
暗黒に白き糸吐く蚕かな隠岐灌木
セーターの黒いとっくりI love you曇遊
黒猫の目と目があって日向ぼこひろ子
黒焦げに泡立草の枯れにけり富沢
白黒をつけてどうなる義士の会さわこ
夜神楽のかがり火に舞う黒き影土下信人
冬木立何か居そうな黒い影西方来人
寒月に黒曜石の鋭さよ西方来人
墓参り己を写す黒御影西方来人
慎ましき黒きセイター句座の人半右衛門
黒蝶の絵羽模様をひろげたりひろ子
黒人悲歌ちゅうぶらりんの干し大根ミサゴン
暮早し黒雲に見紛う塒鳥篠塚英子
雪晴れて黒さ増したり村の家富沢
黒服の楽団演奏冬の星 西方来人
雪かけば黒土やわく香りたつacacia
用水の冬を飲み込む黒い口灌木
クリスマスツリーのもとの赤と黒ミサゴン
黒き音やキース・リチャーズサングラス富沢
釈迦像の御身拭はれ黒光る岩田  勇
木枯らしや喪服にいだく母のことひろ子
冴ゆる夜は黒塚の鬼女哭くといふたかはし水生
黒き海より陽のごとく月上る土下信人
黒髪や洗いざらしの冬の月土下信人
大雪や六角紫水の漆の技ひろ子
白黒をつけて日光颪かな廣島屋
極月のキヨスクに無き黒ネクタイじゅん
朴訥にみえて腹黒毛皮帽たかはし水生
黒土の大根洗ふにぺちゃくちゃと 西方来人
黒百合や愛する人に魔法かけ小夜
黒松の雪吊すれば手の痛し西方来人
樹々黒きオブジェとなりし冬夕焼中村光声
年詰り黒猫プチは家出中たかはし水生
神留守の黒板消しを又つかむ倉本 勉
去年今年変はらぬ君が泣き黒子橋本幹夫
黒石を天元に置く狸かな富沢
君がため暦は聖夜に黒きまる橋本幹夫
黒髪を結はへ大根洗ふ女橋本幹夫
晩秋の涙にぬれる泣き黒子土下信人
降誕祭独りで坐る黒き椅子中村光声
こんどこそ黒き表紙の日記買う土下信人
黒蟻は地球を歩く冬篭り土下信人
黒糖は冬の日の事母の事acacia
手袋でこする別れの黒き窓隠岐灌木
黒豹の伸び切っている小春かな岩田  勇
救世軍鍋も仕官も真っ黒け岩田  勇
原人の黒曜石や草紅葉西方来人
追いかけてまた追いかけて黒揚羽西方来人
黒南風や黙々歩く遠足の子ら西方来人
先陣の煤掃すれば鼻黒し西方来人