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第73回眼鏡第74回午前・午後第75回人形第76回世界
第77回仲間第78回教室第79回椅子第80回阿吽
第81回土地第82回煙突第83回階段第84回曖昧
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6月11日までの投句

つばめの仔親呼ぶ声は黄色なり    青木治敬

★声を黄色と形容したものはたくさんあって、決して新しいことばではない。しかし、そう言っていると俳句は手も足もでなくなる。言い古されている言葉に添える背景によって生かされる言葉もある。「親呼ぶ声」、それが黄色だという断定が、いままでとは違う。仔燕の親を呼ぶ声の必死さが伝わってきて、季節の風景が切り取られている。(喜代子)

黄昏の我が人生を印す夏   万香

★物事の衰えが見え初めている時期。それが自分の生であるとは心のどこかにおもいながら、表に出しにくい。年齢が基準なのか、健康状態をもってのことなのか。それがさらに印すとなれば、相当の覚悟をもってなすことで、手術かなどと考えた。大違いであろう。広いアジア圏のどこかでは若い、あるいは新鮮なと言う意味を持つ「夏」が殿にあり、一句を受け止めた。大胆な登山の予定でもおありなのだろう。(平林恵子)

黄昏れてゆくすこしまへ橡の花    倉本 勉

★昨年、山梨県立博物館の駐車場でたくさん落ちた橡の実をはじめてみた。思わず拾っていた男性に聞き橡と知る。あまりの艶に下ばかり見たのだが、上を見れば大振りな橡の葉があった。雨上がりでもあったが、駐車場を初め外郭も内部も広々とした風情が、私には容易に想像でき薄暮の懐かしさが詠われている。(平林恵子)

文化の日むかし硫黄木とふのあり    じゅん>

★『硫黄木とふ』 を と言う、あるいは てふ であろうと解釈した。つけぎは昭和も何年ごろまで使われていた品物であったろうか。七輪や竈が活躍した時代がしのばれる。つけぎとは知っていたが、いおうぎと言う名は知らなかった。昔を知る者のほうが生き延びる知恵を持つことをこの句は教えてくれた。(平林恵子)


予選句

ひまわりや派手なアロハと黄で並び灌木
軒下にはりつく黄蝶や夏の雨西方来人
黄の薔薇に集まり多し薔薇祭り西方来人
菜の花のあっけらかんと黄色かなこさぶ
清志郎逝つてしまへり黄金花こさぶ
黄檗の寺より出でし揚羽蝶こさぶ
黄昏れて鳰の浮巣はまた流れ橋本幹夫
黄昏の畦に居座るひきがへる橋本幹夫
岬みち蝦夷萓草の黄花みちたかはし水生
薄黄色一刷毛で描く初夏の庭acacia
卵かけ黄身盛り上がり青葉かな西方来人
黄昏に葉はたたまれて合歓の花橋本幹夫
ひまわりやゴッホの黄いろ耳をそぐミサゴン
睡蓮の黄色行き交ふみずの森橋本幹夫
子燕の命黄色いさけびかなひろ子
君が住む大きな国より黄砂来る橋本幹夫
かき氷黄泉までは持ち得ざるとぞじゅん
古への三千年ほど黄砂降る橋本幹夫
黄落や開山堂の鎮もれる橋本幹夫
黄金の黄というこの黄薔薇熟れてさわこ
黄昏や路地裏低くつばくらめ西方来人
黄緑の若葉眩しき朝日かな西方来人
白絣母の縫目の黄ばみかな林 阿愚林
黄葉の一葉はらりを手に受けし西方来人
黄落やビビアンリーの二本立て橋本幹夫
黄吻を逆手に亀の子の群るるじゅん
夕映えの銀杏黄葉踏むは惜し西方来人
生きていてちょっと見たきや黄泉の国西方来人
廃屋に訪ふ人もなく黄水仙西方来人
銀杏降る外苑たちまち黄一色岩田 勇
黄昏に今鳴いてゐる蟾蜍橋本幹夫
噴水の赤青黄色散り散りに橋本幹夫
新緑や硫黄のにおう旅の宿 西方来人