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鉛筆を落として響く冬館   岩淵喜代子

森閑として静まりかえる博物館の中だろうか。思いをめぐらせつつ、ゆっくりと歩いてゆく。ふと何かが落ちた硬い音が響く。見れば鉛筆が落ちたのだった。その音に一段と寒さが身にしみる。それをきっかけに、冬館の世界は地球全体にまで広がっていく。(川村研治)

鉛筆柏槇まつすぐに冬の果て   栗原良子

鉛筆柏槇は、ヒノキ科の針葉樹。高さ三十メートルにも達するという。材は鉛筆の軸として用いられ、「鉛筆の木」とも言うそうだ。樹は真直ぐに伸びて冬のシンボルのようだ。(川村研治)

鉛筆の芯に雪解の匂ひかな   武井伸子

鉛筆の芯にはたぶん匂いはないだろうが、書き物をしていて、ふと鉛筆の芯に意識を集中していたのだろう。唐突に雪解の匂いを感じたのだ。それは、季節の変化に対する微妙な感受によるのであろう。(川村研治)

春愁ひ鉛筆立てたり寝かせたり   浜岡紀子

春愁はこのようなものである、というような定義や説明は出来ないものであろう。ただ無意味に鉛筆を立てたり寝かせたりしている自分自身にはっと気づいたときは、まさに春愁の只中にある証であろうか。(川村研治)


予選句

エンピツの音の転がる春月夜東田喜美子
鉛筆を転がす音や受験場音パンダ
薄氷に鉛筆一本旅に出る山内かぐや
鉛筆の動き滑らか日脚伸ぶ山内美代子
冬山はモノクロが良し鉛筆画山内美代子
鉛筆を尖らせ描く冬怒涛山内美代子
春霞鉛筆立てる遠近法山内美代子
鉛筆を走らす下絵春近し山内美代子
鉛筆と岩波文庫冬ざるるあべあつこ
鉛筆の賞味期限や年新たあべあつこ
アネモネも裸婦像もあり鉛筆画あべあつこ
鉛筆はいつも机上に春の雪あべあつこ
鳥雲に赤鉛筆のあはれなるあべあつこ