今までの兼題

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第49回引力第50回受信第51回凡人第52回書架・書棚
本棚・書庫
第53回進化第54回硝子第55回暗闇第56回猛犬
第57回坩堝第58回位置第59回青森第60回模様
第61回王様第62回四角第63回半島第64回懸垂
第65回全身第66回回転第67回珈琲第68回反対
第69回夫・妻第70回隣人第71回危険第72回書類
第73回眼鏡第74回午前・午後第75回人形第76回世界
第77回仲間第78回教室第79回椅子第80回阿吽
第81回土地第82回煙突第83回階段第84回 
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その椅子は私の椅子よ春の雨牧野洋子
椅子席を足して祝ふや花祭牧野洋子
春昼や椅子の代わりの畑の石牧野洋子
まんさくやどこに置かうか母の椅子牧野洋子
春うららピアノの椅子を引き寄せて牧野洋子
舞妓踊り椅子席で観る茶屋の涼松下祥子
薫風を愉しむ車椅子のひと女松下祥子
籐椅子に鳥籠上海裏通り松下祥子
椅子二脚短夜を過ごす我独り松下祥子
父の椅子西日あたりて影光る松下祥子
緑陰に主なき椅子マホガニー三島やよい
ありつたけの椅子を並べて夏祭り三島やよい
椅子に寄る若かりし母夏衣三島やよい
桜桃忌椅子に斜めの陽のさして三島やよい
椅子朽ちて無人の緑濃きところ三島やよい
離れ家の廊下の椅子に春ショール宮本郁江
母を待つ駅の木椅子や夕薄暑宮本郁江
初夏や主治医の椅子の回転す宮本郁江
椅子の脚摑んだままの昼寝の子宮本郁江
遠花火夜行列車の椅子に揺れ宮本郁江
母の日の陽射しランチの白き椅子村瀬八千代
夕焼けの海原椅子の向きを変へ村瀬八千代
薔薇散らす風長椅子に肩並べ村瀬八千代
緑陰のままごと遊び小さき椅子村瀬八千代
縁側の籐椅子祖父のにほひかな村瀬八千代
椅子五つ分校生徒卒業す山下添子
卒業子発ちて木椅子に日の残る山下添子
母と娘の連弾椅子や春日差山下添子
春の宵チケットを手に椅子探す山下添子
アイスコーヒーいつもの椅子に老二人 山下添子
麦嵐黄色の家の椅子黄色和智安江
驟雨きて陶椅子一つ残さるる和智安江
丸太の椅子庭に転がり避暑家族和智安江
車椅子の母と見送る秋燕和智安江
人去りて椅子の背にある膝毛布和智安江
長椅子にはみだす足よ孫昼寝浅見百
籐寝椅子祖父の眼鏡の落ちさうに浅見百
回転椅子牡丹見る時首延びる浅見百
教室の椅子の座布団夏休み浅見百
木下闇亡父の椅子のかげろえる浅見百
立食の宴の椅子に春の月安達英子
姫女苑あふれて咲きぬ椅子の下安達英子
父在りしままの揺り椅子杜鵑安達英子
ラボの椅子三つ並べて午睡かな安達英子
籐椅子に君の声待つ観音湯安達英子
新緑のどこに置かうか母の椅子新井大介
薔薇園の長椅子白く日に当たる新井大介
椅子に立ち本へ爪立つ跣かな新井大介
梔子や木の椅子硬きカフェで待つ新井大介
張り替へし父の椅子置く避暑の家新井大介
春雷や空席の無きシネマ館五十嵐孝子
春の虹使はれぬまま椅子ひとつ五十嵐孝子
薫風をうけて坂道車いす五十嵐孝子
車いす押す裏道の白薔薇五十嵐孝子
車いす主なきあと奢莪の花五十嵐孝子
春昼の凭れ掛かるは夫の椅子石井圭子
椅子と椅子少し離して春の宵石井圭子
麗らかや回転椅子でメール打つ石井圭子
チューリップ咲いて木椅子の固き事石井圭子
春灯や読みとれぬ字に椅子を引く石井圭子
人去れば落花たちまち覆ふ椅子岩淵喜代子
椅子投げて蝌蚪の国には蝌蚪ばかり岩淵喜代子
十薬の咲いてることにも慣れし椅子岩淵喜代子
油虫見つけ出されて椅子になる岩淵喜代子
蟻は蟻に従ひゆくや椅子を去り岩淵喜代子
花筵座椅子一つがくれのこる宇陀草子
花吹雪ゆっくり歩む車椅子宇陀草子
本堂の座椅子に眠る孕み猫宇陀草子
分校の入学式や椅子ふたつ宇陀草子
車椅子くヾる山内仏生会宇陀草子
朝市や椅子で囲つて鮟鱇鍋及川希子
園児等も椅子を運んで花の下及川希子
車椅子隊列解かずに花仰ぐ及川希子
中継や大臣椅子は目借時及川希子
椅子の背に祭りばんてん小休止及川希子
踊り子の靴履く椅子や抱卵期岡本惠子
棕櫚の花更紗の椅子を窓際に岡本惠子
裾飾り縫う母の椅子栃の花岡本惠子
泳ぎ来て昼寝の椅子のほの暗き岡本惠子
朴咲いて椅子は主を失くしたり岡本惠子
居間にひとつ丸椅子ありて五月来ぬ小田裕子
椅子巡る小説ありしと思ふ夏小田裕子
喫茶店その椅子が好き夏に入る小田裕子
教室に空きし椅子あり片かげり小田裕子
授業終へ椅子引きずりし遠き夏小田裕子
夏立つや袖を捲りて椅子運び鬼武孝江
体育館の椅子並べして麦の秋鬼武孝江
猫若く古籐椅子で爪を研ぐ鬼武孝江
長椅子にレースのクロス掛けてみる鬼武孝江
それぞれに丸椅子出して夏の夕鬼武孝江
桜蕊降るにまかせて朽ちし椅子河邉幸行子
葉桜や祝ひに届く手彫椅子河邉幸行子
坐りぐせ残る籐椅子子の陣地河邉幸行子
長椅子を端から詰めて野外劇河邉幸行子
万緑やボール打ち合ふ車椅子河邉幸行子
末黒野の椅子引きずつてくる子ども川村研治
ふかふかの椅子は子猫の夢のなか川村研治
音立てて椅子より立ちぬ青嵐川村研治
走り梅雨樹下にぽつんと古き椅子川村研治
石の椅子灼けてにんげん許さざり川村研治
本ひとつ椅子に乗つてる春の宵木佐梨乃
花萌えて座れる椅子はただひとつ木佐梨乃
骨董の椅子が並んで風ひかる木佐梨乃
とちおとめ煮込んで椅子に物想ひ木佐梨乃
ゲーミングチェアにまどろむ夏未明木佐梨乃
青葉風電話に椅子をよせておく木津直人
山中に椅子なきことよ虹の奥木津直人
著莪を踏み鉄の椅子までたどりつく木津直人
五月雨に川べりの椅子ひかり初む木津直人
夏雲やビールケースを椅子にして木津直人
高層の住ま居奇妙な夏の椅子栗原良子
此レ如何ニ肘掛椅子ノサングラス栗原良子
夏の森集む習癖椅子男栗原良子
椅子二脚遺物の如く夏の果栗原良子
縁側に暗き記憶の藤寝椅子栗原良子
くるりと回転椅子泰山木開く尾崎淳子
青萩や椅子に座りて水を飲む尾崎淳子
籐椅子に微睡めるまま二十年  尾崎淳子
誰も座らぬ椅子何処までも青野尾崎淳子
両の手に椅子運びゆく晩夏かな尾崎淳子
椅子を置く廊下の奥で郭公かな兄部千達
病院の階の椅子により風涼し兄部千達
夕刻の一人の椅子に喜雨想ふ兄部千達
従兄弟は飛騨家具好きで夏椅子も兄部千達
くつろげる椅子を置いて薫風を受く兄部千達
春炬燵座椅子を倒し一眠り小塩正子
目覚めれば右頬に籐椅子の跡小塩正子
長椅子に膝をくの字の昼寝の子小塩正子
釣堀の小さき椅子に日暮れまで小塩正子
椅子並べゲームの頃や年忘れ小塩正子
理髪屋の椅子に居眠る子猫かな西方来人
耕しに椅子の老婆が口を出す西方来人
正面に残雪の峰歯科の椅子西方来人
東屋の椅子にふんはり花一片西方来人
春月観るや駅の椅子譲り合ひ西方来人
玄関に小さき丸椅子春の蝿佐々木靖子
夏初め湯殿の小椅子に陽を当てる佐々木靖子
トランクに折りたたみ椅子祭かな佐々木靖子
藤寝椅子家人出払つてゐてひとり佐々木靖子
揺り椅子を突いて行くやサングラス佐々木靖子
たんぽぽや椅子に座すごとスクワット島 雅子
蝶の昼回転椅子より寝落ちせり島 雅子
永き日やことりと椅子の倒る音島 雅子
竹落葉さつと払ひて座る椅子島 雅子
蟻の列立ち上がる時椅子を引く島 雅子
芍薬や椅子に座りて人を待つ志村万香
百日紅椅子に作ると肌やさし志村万香
椅子の影紅き花弁けふちくたう志村万香
あの椅子はたれが座るかたち葵志村万香
風の岬に椅子一つあり夕焼雲志村万香
椅子を寄せふたり朧の月に酔ふ新沢しんこ
ベンチに座すふたりの隙間桜まじ新沢しんこ
真向かひの椅子にふうはり花衣新沢しんこ
虻一瞬回転椅子の視野に入る新沢しんこ
ゲームチェア「オレの居場所」と家宮ゐる新沢しんこ
いづこかに我を待つ椅子暮れなづむ 末永朱胤
一脚の椅子をよすがに春の宵 末永朱胤
椅子置けば天蓋となる夏至薄暮 末永朱胤
人去りて椅子残さるる夜の秋 末永朱胤
帰り来て灯せば椅子に秋のをり 末永朱胤
藤棚は天蓋神の椅子を置く鈴木統子
踏み台をいすの代はりにこどもの日鈴木統子
籐寝椅子海に在りし日思ひ出し鈴木統子
籐椅子に沈むる母は海の者鈴木統子
公園の椅子らも飽きぬ五月雨鈴木統子
遅き日や椅子に忘れし花鋏高橋寛治
椅子ひとつ誰も坐らず春の宵高橋寛治
鶯や今日もまた椅子空いたまま高橋寛治
空いた椅子睨んで帰る春の宵高橋寛治
大南風老優ぽつり車椅子高橋寛治
一脚は落花のなかの椅子となる武井伸子
椅子の脚軋む音して霾ぐもり武井伸子
青梅の転がつてゐる椅子の脚武井伸子
揺り椅子をしばらく揺らし旱星武井伸子
夏の夜のがたごと動く居間の椅子武井伸子
長椅子や遠足の子のにぎやかに田中美佐子
椅子取りゲームたんぽぽの絮着地田中美佐子
籐椅子やシャム猫伸びたり甘えたり田中美佐子
監督の椅子濡れており遠郭公田中美佐子
遠雷や倒されしまま歯科の椅子田中美佐子
オーケストラ椅子の全てに夏帽子谷原恵理子
プラスチックの椅子くつつけてソーダ水谷原恵理子
持ち運ぶ椅子を岩場に鮎の川谷原恵理子
風の岬に椅子一つあり夕焼雲谷原恵理子
一生ものの椅子と旦那と扇風機谷原恵理子
夕立を待ちゐるやうな木椅子かな近本セツ子
単衣着て今朝の木椅子のぬくもりに近本セツ子
ひとり子を椅子に矢車まはる朝近本セツ子
はんざきを見に来し木椅子古びゐる近本セツ子
青楓木椅子にひとり言葉選り近本セツ子
長椅子の蕊の積もりて五時の鐘千葉隆
うららかや背もたれ椅子に吾盗られ千葉隆
短夜や背もたれ椅子の主は亡く千葉隆
籐椅子に春塵残る隠居部屋千葉隆
車椅子の母は赤らむ庭花火千葉隆
岡崎城を望む皐月の長椅子で同前悠久子
半円の背凭れ椅子に風薫る同前悠久子
夏に入る四半世紀の食卓椅子同前悠久子
縁側に籐椅子二台は幼き日同前悠久子
やや高きエレクトーンの椅子涼し同前悠久子
囀りや揺り椅子ゆらす昼下がり豊田静世
切り株を椅子にひとりや若葉風豊田静世
月の船椅子にしたりて地球見む豊田静世
鉦叩き椅子の硬さが気になりぬ豊田静世
クリスマス子供等椅子を並べをり豊田静世
新入生ひとりひとりに椅子ひとつ中﨑啓祐
たんぽぽの庭丸椅子に風を待つ中﨑啓祐
サングラスデッキの椅子に膝を組む中﨑啓祐
回転椅子回り続ける夏館中﨑啓祐
パイプ椅子折り重なりぬ祭りあと中﨑啓祐
うららかや回転椅子の猫眠る中島外男 
春の海丸太を椅子にうたた寝す中島外男 
花散るやだんご頬張る丸太椅子中島外男 
柿若葉庭の木椅子に白き猫中島外男 
若葉風椅子積み上げて大道芸中島外男 
明方の夢に見し椅子片蔭り中田千惠子
椅子に眠れる母の日の母の昼中田千惠子
郭公や背中合はせの椅子に君中田千惠子
椅子に背を預く緑雨の窓辺かな中田千惠子
長椅子は私の居場所熱帯魚中田千惠子
初夏の壁一列に駅の椅子服部さやか
夏立つや一年生の小さき椅子服部さやか
朽ちかけの椅子転がりし夏野かな服部さやか
薔薇園にみな座りたき白き椅子服部さやか
海向きの椅子に座れば夏来る服部さやか
八卦見の折畳み椅子おぼろおぼろ平林佳子
園児らの椅子取りゲームうららけし平林佳子
揺椅子の目瞑り人形竹の秋平林佳子
のどやかや濡縁に干す風呂の椅子平林佳子
緑さす坂ゆつくりと車椅子 平林佳子
籐椅子のへこみや父の忌日くる浜岡紀子
六月の花嫁を待つ薔薇の椅子浜岡紀子
廃校の椅子や夏鶯しきり浜岡紀子
緑陰の椅子に持ちこむ本二冊浜岡紀子
三日月の椅子に腰かけ涼みたし浜岡紀子