第一回「俳句四季大賞」受賞風景
岩淵喜代子さんの『螢袋に灯をともす』が、第一回「俳句四季」大賞を受賞し、七夕前夜の7月6日東京タワーを見下ろす霞ヶ関ビルで贈呈式が行なわれた。
二名受賞となった今回の大賞に際し、賞金をどう分配すべきか、という松尾正光社長の顛末は大岡裁きそのもの。ユーモアあふれる挨拶に、あちらこちらで楽しい笑いの蕾がはじける。
選考の様子を選考委員の倉橋羊村氏が披露され、表彰状の授与となった。受賞者のスピーチで、「亡くなった鹿火屋原裕主宰とのやりとりの中で、自分の文学の心が紡がれていった」と、淡々と話される岩淵さんの言葉には、深い敬愛が込められていた。(記録/土肥あき子)
〜受賞委員選後評(抜粋)〜
有馬朗人氏
「軽い抒情性が佳い。岩淵さんの特徴と言えることは現代的なウィットではないかと思う。それも明るく軽妙である。」
倉田紘文氏
「大らかな日常性とドラマ性とがゆったりと漂い、俳句世界をのびやかなものに仕立てていると思う。具象を通して、どこか心象世界を描き出しており、十七文字に奥行きをもたらしている」
倉橋羊村氏
「文章もよくし、原裕から期待された素質の持ち主である。一見おとなしそうな作風だが、ユニークな感受性を秘めている。内面の鋭さを包み込む人柄の柔らかさがあるだけに、かえってシャープな切れ味が持続され、文章と共に深まる可能性が見える」
村上護氏
「さらりとした表現はいわゆる立句じゃなく、平句に近いものだ。けれど一語一語に詩的膨らみがあって、萎縮したところが感じられない。」